
弁護士コラム
第169回
『弁護士による再就職手当は一括でもらえる?
就業促進定着手当申請サポート【相談窓口】』について
公開日:2025年9月26日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第169回は『弁護士による再就職手当は一括でもらえる?就業促進定着手当申請サポート【相談窓口】』についてコラムにします。
民間にお勤めの方の退職給付金サポートについて多数ご相談を頂いています。
民間にお勤めの方の退職給付金(失業保険)サポートについては、第154回『退職給付金(就職困難者のパターン)と弁護士の退職代行で最大200万円?を受給する方法】』について、をご参照ください。
再就職手当と就業促進定着手当申請サポートに関するお問い合わせについては、弁護士の退職代行のページからお申し込みください。

目次
1.再就職手当の概要について
本題に入ります。最近では、再就職手当について相談が増えています。民間の退職給付金サポートは30万円から50万円の高額な費用がかかるため私の方に相談が増えているのではないかと予想しています。今回も高額なサポートは不要になるように弁護士の清水隆久が解説します。
再就職手当とは雇用保険を財源として、対象者に一括で支払われる国の制度になります。そのメリットとしては、早期に給付金が受け取れることにあります。
例えば、失業保険の所定給付日数は、90日から360日になりますが、毎月ハローワークに一定の申請をする必要があります。すなわち、毎月受け取れるが、全ての給付を受けるためには、一定期間が必要となり、早期に就職をするモチベーションが下がる場合もあります。
再就職手当は、早期に就職するご褒美(奨励金)として、ハローワークから一定の給付を受けることができます。そのご褒美(奨励金)こそ一括支給になります。
国としても、早期の再就職を後押しできますし、失業手当で受給してもらうよりも支給額を低く抑えられますので、支給を受ける側と支給する側にとってメリットがあります。
一定の給付としては、
①所定給付日数の1/3以上を残した場合→60%
②所定給付日数の2/3以上を残した場合→70%
基本手当日額は失職前6ヶ月分の賃金を日額換算し、そこに所定の給付率を掛けることで求められます。
給付率は45〜80%の範囲で、賃金が増えるにつれ給付率は減っていくという仕組みです。
支給額は、所定給付日数の支給残日数×給付率×基本手当日額((注意1) 一定の上限あり)となります。
給付率については以下のとおりとなります。
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の方は、所定給付日数の支給残日数×70%×基本手当日額((注意1)一定の上限あり)。
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の方は、所定給付日数の支給残日数×60%×基本手当日額((注意1)一定の上限あり)。
注意1
基本手当日額の上限は、6,570円(60歳以上65歳未満は5,310円)となります。(毎年8月1日以降に変更されることがあります。)
その他詳しくは、再就職手当のご案内をご覧ください。
2.再就職手当の受給額及び不支給の場合について
では、実際に再就職手当の計算をしてみましょう。
例えば40歳で賃金日額16,000円の場合、給付率は最少の50%が適用され、計算上の基本手当日額は8,000円です。
もっとも、上限額の6,570円を超えているため以下の計算式になります。
残日数を120日として、
120日×6,570円×70%=551,880円となります。
再就職手当が不支給になる代表的な場合
・基本手当の支給残日数が不足している
・雇用保険加入者ではなかった
・過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給している
・待機期間に再就職をした
・再就職先の雇用期間が1年以内
・同じ会社へ出戻りまたは関連会社への再就職
・給付制限期間中は、ハローワーク、または、有料職業紹介業を通じて就職しない場合
・受給資格決定前(求職申込前)から内定を受けていた場合
※受給資格決定日とは、ハローワークに行き求職申し込みをおこない、雇用保険被保険者離職票を提出した日です。 失業保険の正確な待期期間の日数は、失業保険受給申請をした日を入れて土曜日、日曜日、祝日を含む7日間です。 支給の対象となる日は、この7日間の待期期間が満了した日の翌日からになります。
例えば、特定理由離職者の場合には、7日間の待機期間以外に、給付制限期間がないため、7日間の待機期間を過ぎた後に、就職した場合には、再就職手当が支給されます。
※その他詳しくは、再就職手当のご案内をご覧ください。
3.就業促進定着手当について
次に、就業促進定着手当についてを解説します。
就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けた人が、引き続きその再就職先に6か月以上雇用され、かつ再就職先で6か月の間に支払われた賃金の1日分の額が雇用保険の給付を受ける離職前の賃金の1日分の額(賃金日額)に比べて低下している場合、就業促進定着手当の給付を受けることが出来ます。
支給額は、(離職前の賃金日額-再就職手当の支給を受けた再就職の日から6か月間に支払われた賃金額の1日分の額)×再就職の日から6か月間内における賃金の支払いの基礎となった日数(通常月給制の場合は暦日数、日給月給制の場合はその基礎となる日数、日給制や時給制の場合は労働の日数)となります。
ただし、次のとおり上限額があります。
上限額:基本手当日額(注意2)×基本手当の支給残日数に相当する日数(注意3)×20%
注意2:
基本手当日額の上限は、6,570円(60歳以上65歳未満は5,310円)となります。(毎年8月1日以降に変更されることがあります。)
注意3:
再就職手当の給付を受ける前の支給残日数です。
※その他詳しくは、就業促進定着手当をご参照ください。
4.まとめ
再就職手当の申請期間は、再就職した日の翌日から1ヶ月以内に行なうのが原則です。もっとも、1ヶ月以内に申請をしない場合でも、救済方法もありますが、原則通り1ヶ月以内に申請するようにしましょう。
もう一つの注意点としては、再就職手当の申請中に退職をした場合は不支給になるので、注意しましょう。
今回のコラムでは、再就職手当金と就業促進定着手当金申請について解説しました。お困りな点がありましたら、私までご相談ください。
・参考コラム
第60回『弁護士の退職代行と退職時の給付金が最大200万円?』について
第62回『弁護士による退職代行と社会保険給付金サポートが最大500万円が受け取れるは本当か!?』について
第63回『弁護士による退職代行と失業保険給付金サポートが最大100万円が受け取れるは本当か!?』について
第154回『退職給付金(就職困難者のパターン)と弁護士の退職代行で最大200万円?を受給する方法』について
第155回『【相談窓口】退職給付金サポートと弁護士の退職代行』について
第161回『自衛官のための退職給付金サポートと退職代行』について
第168回『公務員の退職給付金サポートと弁護士の退職代行【相談窓口】』について
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者

弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。
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