
弁護士コラム
第194回
『【弁護士が解説!】軽貨物運送のための退職代行(リース車両があるケース)』について
公開日:2025年12月8日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第194回は『【弁護士が解説!】軽貨物運送のための退職代行(リース車両があるケース)』についてコラムにします。
※軽貨物運送の解除代行についてお悩みでしたら『弁護士法人川越みずほ法律会計』の『弁護士の退職代行』のページからお問い合わせください。

目次
1.軽貨物運送に従事する方が増えている??
軽貨物運送業務に従事する方が増えている様に思います。主に、大手運送会社やAMAZONの配送業務など・・・・・。従事する方に比例して軽貨物運送の『退職代行』の依頼が増えています。
最近では、一日の退職代行の依頼のほとんどが『軽貨物運送業務の退職代行』になることもあります。そんな最近の軽貨物運送業務の退職代行について今回はコラムにします。
2.契約書の控えをもらえないこともある??
軽貨物運送に従事するにあたっては、求人誌を見て応募される方が多くいらっしゃいます。その求人誌の募集項目は、パート、アルバイトで募集をかけて、面接後、採用段階で『業務委託契約書』へのサインを求められることがあります。
その『業務委託契約書』の内容を精査する時間を貰えずに、その場でのサイン→契約書の控えは回収されることから、『業務委託契約書』の内容さえも把握されていない依頼者も多くいらっしゃいます。
軽貨物運送を営んでいる会社の中には、働く側のことをよく考えてやっている会社もあります。その際、リース車両は無料にしたり、ガソリンカードを貸与していたり、その他いろいろ働く側のことを考えて対応している会社はありますが、そこまでして業務委託にする必要性があるのか今一度検討をする時期にあると私は考えます。
話を元に戻しますと、軽貨物運送を辞めたいと思った場合でも、委託契約書があることから簡単にやめることはできません。場合によっては、早期解除として、『違約金』を請求される可能性もあります。
次に、軽貨物運送とセットで『車両』を『リース』しているケースもあります。
その車両のリース代を早期解除として請求されるケースもあります。軽貨物運送の解除にあたっては、ざっくり考えても法的な論点がいくつかありますので、軽貨物運送の解除にあたっては、弁護士に相談することをおすすめしています。
3.業務委託契約の解除とリース車両の解除について
通常のコラムであれば、ここから解除の具体的な内容に入るのが一般的ですが、今回は、リース車両の論点から解説していきます。軽貨物運送業務に従事するにあたって、車両の持ち込みをされている方もいらっしゃいますが、車両のリースを受けていることがほとんどです。
車両についてはリース契約をしている方が委託契約を解除するにあたっては、車両のリースをし続ける方は少ないです。むしろ、委託契約を解除する際には、リース契約も当然のように解除される契約になっていることもあります。
では、委託契約を解除する際に、リース車両の残金を当然のように支払う必要はあるのでしょうか?
① A社との業務委託 → A社とのリース契約
② A社との業務委託 → B社とのリース契約
まず、①について解説します。
A社との業務委託契約が無効になった場合には、そのA社とのリース契約も無効になる可能性があります。
⑴ A社との業務委託契約の無効については、偽装委託であることも主張をします。
⑵ 偽装委託というためには、委託契約の実態が『雇用契約』にあたることを主張します。
⑶ 雇用契約にあたるなら、本来的な業務にかかる経費は「A社」負担であるので、受託者が負担する必要はなくなります。
ポイントは、⑵の実態が雇用契約であることを主張することになります。
次に、②について解説します。
A社との業務委託契約が無効になった場合でも、当然にB社とのリース契約が無効になる訳ではありません。
しかしながら、A社とB社との『関係性』から「退職者」との間で無効になるかを判断する必要があります。よくあるのは、A社とB社とのグループ会社であったり、A社との委託契約の前提として、B社とのリース契約をすることであったり、B社とのリース契約書の中に、A社の存在が規定されていたなどの例外的な場合には、「本来」であれば、A社が経費負担をするべきであるにも関わらず、「退職者」に費用をもたせているのは不当であることからリース契約も無効になると考えても良いと私は考えます。
※業務委託契約が無効になるケースはコラム第192回『軽貨物運送ドライバーの退職代行』について、をご参照ください。
4.まとめ
私の経験値で述べるなら軽貨物運送の業務委託の『80%』程度は、雇用契約をすり抜けるための『形式上』の偽装委託の契約をとっているように思います。
偽装委託にあたるかの法律的な判断基準はある程度はっきりしていますので、お悩みでしたら私までご相談ください。力になります。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者

弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。
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